銅過剰症で報告された症状
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銅過剰症によるパーキンソン病
パーキンソン病は、多くは40歳以後に発症し、手足のふるえ、筋の固さ、動作の遅さ、歩行の拙劣さ、転びやすさなどの症状がみられる病気です。パーキンソン病は、脳の中の黒質にある神経細胞が減ることにより、ドパミンが減少するために起こる病気です。ドパミンは、運動を円滑に行うように脳からの指令を筋肉に伝える神経伝達物質です。この命令がうまく伝わらなくなるので、パーキンソン症状と呼ばれる運動の障害を生じます。最初から全部の症状がそろっているわけではありませんが、発症して数年経つとこれらの症状の大部分がみられるようになります。
パーキンソン病の症状
手、足、頭、上下肢、体全体などにおこるふるえのことが一番多いです。左右どちらかに強いのが普通です。ふるえをおこす病気はいろいろありますが、パ-キンソン病のふるえは、動作をしていない時(安静時)に強くふるえ、動作をする時には消失したり、軽くなったりするのが特徴です。1秒間に4~5回くらいのふるえで、手指におこるふるえで典型的な症状は丸薬を指で丸める仕草に似ています。4つの特徴的な症状をまとめてみました。
筋強剛(きんきょうごう):筋固縮(きんこしゅく)ともいう
これは患者さん自身が気付く症状ではありません。例えば、お医者さんが患者さんの前腕を肘のところで伸ばしたり、曲げたりした時に、お医者さんが自分の腕に感じる症状です。パーキンソン病の患者さんでは、お医者さんが患者さんの腕を屈伸した時に正常とは異なる抵抗を感じます。この抵抗を強剛といいます。筋強剛とは筋肉の緊張が高まっている状態のひとつで、強剛はパーキンソン病以外の病気でもあります。パーキンソン病の強剛で典型的な場合は、ギコギコとちょうど歯車のように感じます。そのためこのような強剛を歯車様強剛と呼んでいます。パーキンソン病を他の病気とくにパーキンソン症候群といわれる種々の病気と区別する時に重要な症状せす。
動作緩慢(どうさかんまん)
動作が遅くなる、のろくなるという症状です。パーキンソン病ではすべての動作にあてはまり、歩行がおそくなり、歩幅が小さくなります(小刻み歩行)。着脱衣、寝返り、食事動作など日常生活すべてに支障をきたします。
姿勢反射障害(しせいはんしゃしょうがい):
人間の体は倒れそうになると姿勢を反射的に直して倒れないようにする反応が備わっています。しかし、パーキンソン病の患者さんでは、立っている時、歩いている時、椅子から立ち上がろうとする時などに、この反応が障害されているために、立ち直りができずに倒れてしまいます。こうした症状のことを言います。倒れはじめると、止めることができず、また動作緩慢もあり腕などで保護することができないため、大けがをすることもあります。
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上記以外にも自律神経障害と精神症状があります。自律神経障害では便秘が最も多く、あぶら顔、多汗、よだれ、起立性低血圧などがみられます。精神的には抑うつ的になるひとが多いことが知られています。 パーキンソン病の診断は、これらの症状があって、それがパーキンソン病の薬をのむことでよくなれば、ほぼ間違いありません。CTスキャンやMRIでは異常がみられません。
銅過剰症による溶血性貧血
赤血球が破壊されて起こる貧血をいいます。赤血球が破壊されることを溶血といい、この疾患はその赤血球の破壊により起こることから溶血性貧血と呼ばれています。
溶血性貧血の症状と合併症
主な症状は、黄疸で、赤血球由来のビリルビンの血中濃度が上昇することにより発生します。また、合併症は、ビリルビンの上昇により、胆石症の合併症が起こりやすくなります(ビリルビン結石)。同じ要因により、大脳核にビリルビンが沈着することにより、新生児黄疸に見られるような、核黄疸が見られる。
溶血性貧血の原因
細菌感染、毒素、血漿浸透圧の極度な低下などがあげられます。また、アレルギーによるものもあります。赤血球を異物と認識してしまい、抗体反応によって赤血球が破壊されます。赤血球は通常、鉄と結合しているため赤色を呈していますが、溶血すると黄色色素と結合し黄疸が発症します。また、原因により先天性、後天性に分けることができます。
①先天性
・鎌状赤血球症 : 血色素異常によって溶血する
・遺伝性球状赤血球症 : 膜蛋白の異常によって溶血する
・サラセミア : 血色素異常によって溶血する
②後天性
・自己免疫性溶血性貧血 : 自己抗体によって溶血する
・発作性夜間血色素尿症 : 造血幹細胞の異状によって溶血する
・バンチ症候群 : 脾機能の亢進によって溶血する
溶血性貧血の治療
遺伝性の高いアレルギーが原因の場合、免疫反応を抑えるプレドニン(ステロイド剤)を経口投与します。但し免疫力を低下させる為注意が必要。 赤血球破壊の場である脾臓の摘出がにより改善される。また、溶血により血中ビリルビン上昇による胆石症を合併症に対する治療のため、脾臓と同時に胆嚢の摘出をすることも多い。
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銅に関する情報
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