亜鉛の栄養について
亜鉛の化学的特性
亜鉛は元素記号Zn、原子番号30、原子量65.38の金属です。湿った空気中では灰白色の被膜を生じます。水には溶けませんが、希酸・アルカリ水溶液には溶けます
。
亜鉛の吸収
食物から摂取した亜鉛は、食物の消化によって生じるアミノ酸、有機酸、リン酸などと複合体を形成して小腸 (主に十二指腸や空腸) から吸収され 、アルブミンと結合し、門脈を経由して肝臓に運ばれます。小腸での吸収率は約30%といわれていますが、摂取量や同時に摂取した鉄や銅の量と互いに影響し合って変化します。亜鉛は体内に約2,000
mg存在し、歯、骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれます。そのほとんどはたんぱく質などの高分子と結合して存在し、体内の種々の生理機能に重要な役割を果たしています。その働きとして、200種以上の酵素の構成、酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調節、DNA合成、たんぱく質合成、免疫反応の調節などが挙げられます
。
亜鉛の栄養の働き
亜鉛は人の必須ミネラルの一つであり、亜鉛が多く存在する臓器には、毛髪、肝臓、腎臓がある。これらの臓器に共通するものは新陳代謝の高さ。成長期の子供に不足すると成長が阻害されることが分かってきているが、いずれもタンパク質の代謝にかかわっており、それに関与する酵素に亜鉛が不可欠であることが分かってきている。
亜鉛の主な働きは以下の通り
体内における亜鉛の働きは、①骨の組織の強化(石灰化の促進) ②味らいの形態維持 ③肝臓におけるレチノールタンパク質の合成 ④皮膚の正常化保持 ⑤性腺の発育・機能保持および性腺刺激ホルモンや種々の性ホルモンの分 泌維持 ⑥糖代謝、インスリンの合成・貯蔵 などがあります。
亜鉛の栄養所要量
食物から摂取した亜鉛は、食物の消化によって生じるアミノ酸、有機酸、リン酸などと複合体を形成して小腸 (主に十二指腸や空腸) から吸収され 、アルブミンと結合し、門脈を経由して肝臓に運ばれます。小腸での吸収率は約30%といわれていますが、摂取量や同時に摂取した鉄や銅の量と互いに影響し合って変化します。亜鉛は体内に約2,000
mg存在し、歯、骨、肝臓、腎臓、筋肉に多く含まれます。そのほとんどはたんぱく質などの高分子と結合して存在し、体内の種々の生理機能に重要な役割を果たしています
。その働きとして、200種以上の酵素の構成 、酵素反応の活性化、ホルモンの合成や分泌の調節、DNA合成、たんぱく質合成、免疫反応の調節などが挙げられます。
亜鉛の所要量は以下の通りです平成21年の国民健康・栄養調査で通常の食品から、男性は平均8.8 mg、女性は平均7.3 mg摂取しています 。
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亜鉛の推奨量 |
成人男性 |
12mg |
成人女性 |
9mg |
妊婦 |
+2mg |
授乳婦 |
+3mg |
カルシウムの詳しい栄養所要量についてはここを参照
亜鉛の栄養の欠乏症と過剰症
亜鉛は不足すると味覚障害が引きおこされることが指摘されています。口の中の味を感じる器官を「味らい(みらい)」といいますが、味らい細胞は新陳代謝が活発なため、亜鉛が不足すると細胞の生まれ変わりに支障をきたし、味覚の低下がおこると考えられます。 ダイエットなどで食事量が少ない状態が続いたり、偏った食事をしていると、亜鉛不足が原因の味覚障害になる可能性があり、近年とくに若い女性での亜鉛不足が心配されています。無理な食事制限には気をつけましょう。一方、高齢者での亜鉛不足は、床ずれの回復が遅れたり免疫力の低下につながるといわれています。亜鉛の多い魚介類や肉類をやわらかく煮るなど食べやすく料理して不足を防ぎましょう。 通常の食生活ではとり過ぎの心配はほとんどありません。ただし、サプリメントなどで誤ってとり過ぎた場合は、同じミネラルである銅の吸収を阻害して銅欠乏性貧血をおこすなどの過剰症があります。摂取量などには十分に注意して適切なご利用をこころがけてください。
亜鉛不足はどのようにして起こるのか?
亜鉛の不足は、食事からの摂取不足、需要の増加、排泄の促進により起こります。また、亜鉛が添加されていない高カロリー輸液施行時や、経腸栄養施行時などにも不足することがあります
。その他、亜鉛と錯体を形成する薬剤の服用によっても、亜鉛不足が起こることが報告されています。
亜鉛が不足すると、どのような症状が起こるのか?
亜鉛が不足すると、味覚障害や皮膚炎、食欲不振などが起こることが知られていますが、その詳しいメカニズムは分かっていません。小児で不足すると、成長障害、性腺発育障害がみられます。この他、免疫機能低下、皮疹、創傷治癒障害、慢性下痢、男性機能不全、貧血、催奇形性、精神障害などが起こる可能性があります。
亜鉛過剰摂取のリスク
亜鉛は毒性が極めて低いとされているため、通常の食生活では亜鉛の過剰症が問題となることは、あまりありませんが 、急性亜鉛中毒では胃障害、めまい、吐き気がみられます
。継続的に過剰摂取すると、銅や鉄の吸収阻害による銅欠乏や鉄欠乏が問題となり、それに伴う貧血、免疫障害、神経症状、下痢、HDLコレステロールの低下などが起こるおそれがあります。
亜鉛には、過剰症状と欠乏症があります。
項 目 |
亜鉛における具体的な症状 |
亜鉛
過剰症 |
上部腹部痛やめまいが報告されている。また、非常に大量のZnを摂取した場合、免疫機能低下、HDLコレステロールの低下が報告されている。
(亜鉛過剰症の詳しい情報)
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亜鉛
欠乏症 |
カンジタ感染を伴った腸性肢端皮膚が有名。ナチュラルキラー細胞の活性化を低下させることが分かっている。 最近では味を感じる器官である味らい細胞がZnの不足による新陳代謝低下により味覚障害が分かっている。
(亜鉛欠乏症の詳しい情報)
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【備考】
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亜鉛の栄養が多く含まれている食品魚介類に多く含まれていますが、その中でも、かきやうなぎは亜鉛の量が多い食品です。その他、肉類や海草類にも多く含まれています。
亜鉛が多く含まれている食品について
牡蠣 |
13.2 |
ゴマ |
5.5 |
パプリカ |
10.3 |
牛ロース |
4.6 |
パルメザンチーズ |
7.3 |
そら豆 |
4.6 |
豚肉(肝臓) |
6.9 |
わさび |
4.4 |
たにし |
6.2 |
卵黄 |
4.2 |
(亜鉛が多く含まれている食品リスト)
亜鉛の吸収促進・吸収阻害する因子
詳しくはここをクリックして参照してください。
亜鉛に関する情報
亜鉛に関する詳しい情報
亜鉛の栄養所要量
亜鉛の吸収を促進阻害する因子
亜鉛の過剰症
亜鉛の欠乏症
亜鉛について詳しい情報はこちらを参照 |
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