銅の栄養について
銅は最も古くから人類に知られ、古代から武器や様々な用具として利用されてきた金属です。生体内には約80 mg存在している微量必須ミネラルで、主に骨、骨格筋、血液に存在します。銅はたんぱく質と結合し、広範な生体内反応の触媒作用の役割を担っています。銅は鉄とともに造血機能にも関わっていますが、通常の食生活を送っていれば欠乏症は起こらないとされています。また、銅は毒性の低いミネラルであるため、慢性的な過剰摂取による悪影響については、一部の疾患を除き、ほとんど報告されていません。
銅の化学的特性
銅は元素記号Cu、原子番号29、原子量63.546の金属です。1価と2価の2種類の酸化状態を持ち、乾燥した空気中では安定しています。1価の化合物は不溶性の塩および錯塩として存在します。2価の塩および錯塩が一般的な存在形態です。
銅の吸収
銅は主に小腸や十二指腸から吸収され、門脈を通って肝臓に運ばれます。銅は摂取量が少ないほど吸収率が高く、摂取量が多くなるに従い吸収率は低下するとされています。亜鉛は銅の吸収を低下させるため、銅を蓄積するウィルソン病
(先天性代謝障害) の治療に利用されます。また、大量の2価の鉄とスズイオンは競合的に消化管からの銅の吸収を阻害します。生体内の銅の多くは、特定のたんぱく質と結合した銅酵素として作用し、酸素の運搬、電子伝達、酸化還元、酸素添加など諸反応の触媒として働きます。中でも、鉄の代謝や輸送、活性酸素の除去、神経伝達物質の代謝に重要な役割を担っています。
銅の栄養と働き
銅は鉄と共に、細胞呼吸、エネルギー代謝に重要な役割を担っており、活性酸素の消去にも関与しています。また、鉄の輸送・代謝にも関わり、ヘモグロビンの生成を促します。亜鉛とのバランスも重要です。プールに入る習慣のある人は、外的要因の銅汚染により高値を示すことがあります。
銅の働きには、次の働き
体内における銅の働きは、①鉄の吸収を促進 ②抗酸化酵素の中心的役割 ③皮膚や血管の結合組織の生成 ④皮膚や毛髪のメラニン色素を作るチロシナーゼの酵素として作用をしています。
銅の栄養所要量
銅は極端に摂取不足して欠乏した場合、銅欠乏性の貧血などになります。しかし、これは遺伝性の吸収不全や難治性の下痢症など特別の場合であって、日常の食生活において欠乏症はほとんどみられません。 一方、とり過ぎによる過剰症は、先天性の代謝障害以外に海外では銅製の食器や調理器具で酸性の食品を扱ったことによる中毒の報告がありますが、通常の食生活では心配はありません。ただし、サプリメントなどで誤って大量摂取した場合には、肝障害など健康を害するおそれがありますので注意が必要です。
銅の所要量は以下の通りです
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銅の推奨量 |
成人男性 |
0.8mg |
成人女性 |
0.7mg |
妊婦 |
+0.1mg |
授乳婦 |
+0.6mg |
銅の詳しい栄養所要量についてはここを参照
銅の栄養による欠乏症と過剰症
銅不足はどのようにして起こるのか?
銅の欠乏には、遺伝性の吸収不全から起こるものと、後天性のものがあります。健康な人では、日常の食生活において欠乏はほとんどみられませんが、銅を添加していない高カロリー輸液の施行時や、銅の含有量が少ないミルクを主な栄養源としている乳児、未熟児、たんぱく質栄養障害、難治性下痢症などにおいて、欠乏症が起こることがあります
。
銅が不足すると、どのような症状が起こるのか?
銅が不足すると、鉄投与に反応しない貧血、白血球減少、骨異常が起こります 。このほか、頻度は少ないですが、成長の障害、色素沈着の減少、筋肉の緊張低下、免疫機能の低下、心血管系異常、コレステロールや糖代謝の異常などがみられることもあります。
銅過剰摂取のリスク
先天性の代謝障害以外には、通常の食品からの慢性的な過剰摂取による臨床症状は報告されていませんが (1) 、化学薬品の誤飲や、人工透析時の混入などの事故により、消化管障害・肝障害・溶血性貧血を主訴とする急性中毒が起こることが知られています
。
銅には、過剰症状と欠乏症があります。
平成21年の国民健康・栄養調査で男性は平均1.23 mg、女性は平均1.06 mg摂取しており、推奨量を充たしています。
銅の栄養成分が多く含まれている食品
広く食品に含まれますが、とくにかき、するめなどの魚介類、レバー、ナッツ、大豆、ココアなどに多く含まれています
銅の栄養素が多く含まれている食品について
牛肉(レバー) |
5.30 |
干しえび |
5.17 |
しゃこ |
3.46 |
ピュアココア |
3.80 |
ほたるいか |
3.42 |
カシューナッツ |
1.89 |
桜えび |
2.05 |
フォアグラ |
1.85 |
いかの塩辛 |
1.91 |
ごま |
1.68 |
うなぎ(きも) |
1.08 |
えびの佃煮 |
1.56 |
あんこうのきも |
1.00 |
松の実 |
1.30 |
豚肉(レバー) |
0.99 |
せん茶の茶葉 |
1.30 |
(銅が多く含まれている食品リスト)
銅の吸収促進・吸収阻害する因子
詳しくはここをクリックして参照してください。
銅に関する情報
銅に関する詳しい情報
銅の栄養所要量
銅の吸収を促進阻害する因子
銅の過剰症
銅の欠乏症
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